HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤尊宏)は、EV(電気自動車)のメンテナンス市場に向け、抵抗計RM3548-50を2025年1月8日に発売します。RM3548-50は従来機種RM3548の後継となる抵抗計で、プロテクターやBluetooth®、EVメンテナンス向けのプローブなど、新しい機能やオプションが追加されています。
EVメンテナンスの現場において、抵抗計測はネジ締めや溶接の電気的、機械的な接続状態の検査に用いられています。RM3548-50はEVメンテナンスの作業効率化を支援し、需要が増加するEV市場の進化に貢献します。
■開発の背景
カーボンニュートラル目標の達成に向けてEV市場は拡大を続けており、2024年のグローバルなEV販売台数は約1,700万台に達すると予測*されています。このような市場の拡大に伴い、EVメンテナンスの需要が高まっています。適切なメンテナンスは、EVの安全性と性能を維持し、長寿命化や再利用価値の向上に貢献します。
高電圧システムを扱うEVメンテナンスの現場では、作業者の安全確保と作業効率向上の両立が求められます。このような現場ニーズに応えるため、当社は2024年1月にEVメンテナンスツールキットの提供を開始しました。EVメンテナンスツールキットは、抵抗計、放射温度計、DC電圧計、絶縁抵抗計、作業フローマニュアルから構成されます。RM3548-50はキット内の抵抗計、RM3548の後継となる製品です。抵抗計はEVのシャシーやシールドなどパーツ同士の正常な結合を確認するため、溶接やネジの抵抗値計測に使用されます。RM3548-50は新機能とオプション追加によりキット全体の完成度を高め、EVメンテナンスの安全性および作業効率の向上に貢献します。
また、抵抗計は同様の用途で航空機の機体部品のメンテナンスにも使用実績があり、計測プローブの改善による作業効率の向上が求められていました。このたびRM3548-50の提供開始に伴い、航空機向けの新しい計測プローブも追加されました。
HIOKIはEVメンテナンス向け製品の提供と改善を通して、EVの普及を支援し、持続可能な社会を実現していきます。
■製品の特長
1. 過酷な作業環境でも安全・確実な計測を実現
EVメンテナンスの現場では、車体下部のような狭く暗い場所での作業が必要なケースも少なくありません。RM3548-50 はプロテクターを装備し、狭い場所で計測器がぶつかってしまう衝撃から車体と計測器本体を保護します。また計測器画面へのバックライト搭載により、車体下部のような暗所でも計測値をはっきり確認できます。
通信機能により記録と分析がしやすくなったRM3548-50
2. デジタル化により記録と報告の効率化を支援
これまでEVメンテナンスの現場では、データ記録のために、手書きやPCへのデータ転送などの手間がかかっていました。RM3548-50はBluetooth®通信用オプションZ3210(別売)による通信機能を搭載しており、当社のアプリケーション ”GENNECT Cross” * との連携によるデータ記録と報告書作成を支援します。デジタル化で記録作業と報告書作成の効率化に貢献します。
* GENNECT Cross: HIOKIが提供するiOS、Android用の無償アプリ。スマートフォンやタブレットと計測器をBluetooth®通信で接続し、計測値の記録や報告書作成が可能。
3. バラエティに富んだオプションプローブ(別売)
抵抗計測において計測端子を測定対象にどのように接触させるかということは、ときに本体の性能と同じぐらい重要な意味があります。RM3548-50の発売に伴いEV、航空機、それぞれのメンテナンス用途に向けて、検査の作業効率を向上させるプローブを新たにラインアップしました。
・テストリードL2140:EVメンテナンス向けのプローブ。ケーブル長が3mと長い。車体下部など計測対象が大きく、+極と-極の端子同士が離れているときでも計測できる。
・ピン形リードL2141:航空機出荷検査向けのプローブ。先端のピン端子が丸い形状になっているため、塗装される前の板金において表面を傷つけずに抵抗計測できる。
・ピン形リードL2142:航空機メンテナンス向けのプローブ。高耐久性スプリングとニードル型のピン端子で、塗装された後の板金において塗装被膜を貫通して計測できる。