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測定器を安全に使用していただくために、取扱説明書の「仕様」に以下の項目を記載しています。
安全性に関する規格(EN61010 シリーズ、JIS C 1010 シリーズ)では、測定箇所の対地間定格電圧や電流容量(短絡故障のときに流れる電流の大きさ)、および測定箇所に生じる過渡過電圧に基づいて、測定カテゴリⅡからⅣに分類しています。
測定カテゴリⅡはCAT II、測定カテゴリⅢはCAT III、測定カテゴリⅣはCAT IV とあらわし、測定器の測定端子付近に表示しています。
カテゴリの数値の小さい測定器で、数値の大きい測定箇所を測定すると、重大な事故につながる恐れがありますので、絶対に避けてください。
カテゴリの見方
工場などの電力ラインでは、電源電圧の10 倍程度の過渡的な過電圧(インパルス状の電圧)を含むことがあります。
測定箇所の過渡過電圧をあらかじめ予測して、その過渡過電圧にも耐えるような安全設計が必要です。
安全性に関する規格には、対地間電圧と測定カテゴリから、以下のような過渡過電圧の値が規定されています。
対地間電圧 [V] | 過渡過電圧の値 [V] | ||
---|---|---|---|
CAT Ⅱ | CAT Ⅲ | CAT Ⅳ | |
300 | 2500 | 4000 | 6000 |
600 | 4000 | 6000 | 8000 |
1000 | 6000 | 8000 | 12000 |
1500 | 8000 | 10000 | 15000 |
2000 | 12000 | 15000 | 18000 |
測定箇所の対地間電圧が600V であるとすると、測定カテゴリIVの場所では8000V の過渡過電圧が含まれる可能性があります。
CAT IV の測定器は8000V の過渡過電圧に耐えるように設計されています。CAT III の測定器であって6000V までしか耐えられないものは、8000V の過渡過電圧が計測器の内部に入ると絶縁破壊を起こし、感電に至る危険があります。
計測器の表面に汚染物質が付着すると、絶縁性能が低下し、感電の危険が高まります。
安全に関する規格では、計測器が使われる環境を汚染度1から汚染度4に分類しています。
汚染度2の計測器は上記の汚染度1もしくは汚染度2の環境で安全性を損なうことなく使用できることを、汚染度3の計測器は汚染度1から汚染度3の環境で使用できることを示します。
高度(標高)が高くなるにしたがって気圧が下がり、放電(空気の絶縁破壊)が起こりやすくなります。このため、安全に関する規格では、高度2000m 以下という使用場所を想定した安全設計が規定されています。高度2000m を超える場所で使用する場合、危険な電圧が掛かっている部分と人が触れる部分との間隔をより広くとる、といった対応が必要です。