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高確度・小型AC/DCカレントプローブCT6833/CT6834を発売 自動車用電力計測の新たなスタンダード

掲載年月日:2025年2月12日


AC/DCカレントプローブ CT6833/CT6834

HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤尊宏)は、2025年2月12日、自動車の電力計測用途に向けたクランプ型電流センサー「AC/DCカレントプローブCT6833/CT6834」を発売します。CT6833/CT6834は従来機種に比べ50%の小型化により、込み入った狭いスペースでも使いやすく、幅広い用途に対応可能です。自動車業界標準の燃費・排出ガス試験方法(WLTP)や国際規格SAE J1634に対応し、自動車メーカーや試験機関が求める高確度計測と、設置作業の効率化を実現しました。

WLTPおよびSAE J1634規格は、燃料や電力の消費量、排出ガス、エネルギー効率などの評価に関する国際的な基準です。中でも車載バッテリーの試験では、充放電時における電流量(Ah)や電力量(Wh)の正確な計測が要求されます。CT6833/CT6834は洗練された小型化設計により、高密度なエンジンルーム内の配線でも、設置作業の効率化と信頼性の高い計測を両立します。

■開発の背景
自動車産業は、技術革新と環境規制を背景に、世界的な電動化への転換期を迎えています。世界の自動車販売に占める電気自動車(EV)の割合は、2030年には45%、2040年には73%に達すると見込まれています*1。一方で、コスト増加やサプライチェーンの変容、市場環境の変化により、一部の地域ではEV生産に減速傾向が見られます*2

短期的な減速は見られるものの、自動車メーカーや各国政府は持続可能なモビリティへの転換に向けた取り組みを全体的に継続しています。そのためエネルギー効率の向上や標準試験に使用される高確度で信頼性の高い計測ツールの必要性は、今後も高まっていきます。

EVの普及と、先進運転支援システム(ADAS)による自動車システムの高度化により、車両試験プロセスに求められる要求は一段と厳しくなっています。アダプティブクルーズコントロール*3やレーンキーピングアシスト*4、自動ブレーキなどのADAS技術はより多くのエネルギー消費を必要とするため、高確度計測による電力管理が求められます。

さらに近年の自動車では電子制御ユニット(ECU)や補助システムの増加とともに、必要とされる電力量も増加しています。主電源と補助電源の使用状況を監視・最適化するためには、高確度な計測ツールが必要です。また、WLTPや実路走行試験(RDE)基準ではエネルギー消費量の正確な実測が重要です。しかし自動車配線の高密度化にともない技術者は設置の難しさに直面しており、コンパクトで汎用性の高いソリューションの必要性が浮き彫りになっています。こうした業界ニーズに応えるため、当社は世界の自動車メーカーや試験機関からのフィードバック、そして多くの実地試験の結果を取り入れ、実際の使用環境で優れた性能を発揮するAC/DCカレントプローブCT6833/CT6834を開発しました。

貫通型センサーに匹敵するDC確度±0.07%を実現しただけでなく、従来モデルと比べ50%小型化しています。狭いスペースでの設置が容易になり、設置時間の短縮と無理な取り付けによる損傷リスクを低減しています。CT6833/CT6834は最新の基準における試験と車両のエネルギー効率の最適化に欠かせないツールです。

*3 アダプティブクルーズコントロール: 先行車との車間距離を自動で調整し、一定の速度で走行する運転支援システム
*4 レーンキーピングアシスト:カメラで車線を認識し、車線逸脱防止のためにハンドルアシストをする運転支援システム

■主な特長
1. 卓越した高確度
CT6833/CT6834は、業界最高水準となるDC確度±0.07%を実現し、WLTP試験やSAE J1634規格などで要求される高い計測性能を提供します。また導体位置による影響を最小限に抑え、さまざまな試験環境において一貫性のある信頼性の高い計測を可能にしています。

2. 小型で幅広い用途に対応
従来機種と比べ50%の小型化を実現し、配線が込み入ったエンジンルームなどの狭いスペースでも容易に設置できるよう設計されています。設置作業時間の短縮と、強引な取り付けによるセンサーの損傷リスクを軽減しています。
正面  側面    
CT6833/CT6834 (上) と従来機種 CT6843A /CT6844Aの比較

3. 広い電流計測範囲と優れた耐久性
計測範囲は最大200 Armsまたは600 Apeak(CT6833/CT6833-01)、最大500 Armsまたは800 Apeak(CT6834/CT6834-01)で、さまざまな電力計測用途に対応します。また動作温度範囲は-40℃から85℃であり、幅広い温度条件下で安定した計測が可能です。

4. 豊富なケーブルオプション
5 m(CT6833/CT6834)および10 m(CT6833-01/CT6834-01)のケーブルオプションを新たに用意し、試験設備の柔軟なレイアウトを可能にしました。長いケーブルにより配線レイアウトの自由度が向上し、さまざまな使用環境に対応できるようになります。

5. 使いやすいロック機構
指一本で簡単に開閉可能なロック機構を採用し、配線への着脱が簡単に行えます。これにより、設置作業の効率が大幅に向上します。


指一本で簡単に開閉可能なロック機構(センサ後方上部の黄色部分)

6. シンメトリー構造による作業性の向上
極性の向きによって作業性に差が出ないよう、センサーの向きが変わっても効率的にクランプできるシンメトリー(対称)構造を採用したことで、試験時の使いやすさが向上しました。

7. 多様な計測器との互換性
当社パワーアナライザ(PW3390、PW6001、PW8001)をはじめ、電力計測モジュールM7103、センサーユニット(CT9555、CT9556、CT9557、U8977)と組み合わせて使用できます。お客様の既存の試験環境にスムーズに導入でき、幅広い用途に活用いただけます。

■主な用途
・燃費、電費試験
WLTPやSAE J1634規格に準拠した燃料・電力消費試験に対応。エネルギー効率の評価や各種規制への適合確認に必要な、バッテリーの充放電サイクルにおける電流量(Ah)と電力量(Wh)を高確度で積算計測できます。

・補助バッテリーの負荷計測
ADASやインフォテイメント*5、照明といった補助システムの消費電力を監視できます。ECUの増加に伴う電力損失を最小限に抑え、効率的なエネルギー配分の実現に貢献します。

*5 インフォテイメント:インフォメーション(情報)とエンターテイメント(娯楽)を組み合わせた言葉。車載ナビや車両情報、音楽再生などを1つの画面で操作できる統合システム。

・研究開発・規格試験
自動車の開発現場や試験機関において、世界各国のエネルギー基準や排出ガス規制への適合性確認に必要な、高確度で信頼性の高い計測が可能です。

■リンク

■価格
AC/DC カレントプローブCT6833 290,000円 (税込み319,000円、定格200 Arms、出力ケーブル5 m)
AC/DC カレントプローブCT6833-01 330,000円 (税込み363,000円、定格 200 Arms、出力ケーブル10 m)
AC/DC カレントプローブCT6834 300,000円 (税込み330,000円、定格500 Arms、出力ケーブル5 m)
AC/DC カレントプローブCT6834-01 340,000円 (税込み374,000円、定格 500 Arms、出力ケーブル10 m)

【本件に関するお問い合わせ先】
プロダクトマーケティング部 
TEL: 0268-28-0555(代表)

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