アプリケーション・用途

バッテリーEVの熱マネジメント

HIOKI データロガーLR8450 × Hukseflux 熱流センサーFHF05
近年、バッテリー式電気自動車(Battery Electric Vehicle, 以下BEV)の開発が加速しています。リチウムイオン電池は熱の影響を受けやすく、特に低温下では性能が一時的に低下し使用できる容量が減少します。BEVにはエンジンという熱源がありません。そのため航続距離を延ばすためには、モーターやインバータなど周囲の部品が発する熱を集める必要があります。LR8450と熱流センサーFHF05を組み合わせると熱流を測定できます。温度測定に加え「熱の移動方向」を確認することができるので、熱マネジメントの実証に役立ちます。


熱流測定で熱の動きを見える化

熱流を測定すると熱の動きを見ることができます。測定対象自体が発熱しているのか、周囲からの熱を受熱しているのかが確認できるので、有効な熱対策ができます。また発熱している部品を特定することで、最適な断熱・放熱設計ができるようになります。Fig.1はLR8450とFHF05で、走行中の自動車の部品の温度と熱流を測定したときの画面です。温度は緩やかに上昇し続けているのに対し、熱流のグラフは停止した時に+からーに変化しています。つまり、走行中は部品自体が発熱し、停止中は周囲からの熱を受熱していることが確認できます。



熱流測定の応用

バッテリーの性能や劣化するスピードは発熱と相関があります。バッテリーの熱流を測定することで、性能評価や非破壊的な劣化診断ができることも期待されます。

測定方法

LR8450用測定ユニットのチャネル2 ch分に、FHF05の熱流と温度の各線を接続します。FHF05は1台で熱流と温度を同時に測定できます。


FHF05のケーブルにマーキングされている感度係数(S)をLR8450スケーリングの感度枠に入力するだけで、簡単に熱流量を直読できます。面倒なスケーリング計算は不要です。


波形画面の上下限値を任意の値に設定し、波形を観測できます。ゲージを2本同時に表示できますので、温度と熱流の同時観測に大変便利です。

LR8450による熱流測定のメリット

無線LAN搭載モデルLR8450-01なら、ワイヤレスユニットと本体間を無線化できます。熱流センサをつないだワイヤレスユニットを測定対象の近くに設置し、離れた実験室でリアルタイムに変化を観測することもできます。
通信距離:見通し 30 mまで(LR8450-01やワイヤレスユニットを床や地面に置くと通信距離が短くなる場合があります)

熱流センサの感度定数は、温度依存性があります。例として、測定対象の温度が 120℃のときに熱流を測ろうとすると、20%の誤差が生じてしまいます。FHF05は、熱流だけでなく温度も測定できます。温度測定値を使って、LR8450の波形演算機能で温度補正すると、高精度な熱流測定ができます。
参考:FHF05 の場合、20℃の環境下で校正されます。そのときの感度定数をS20とすると、温度T での感度係数Sは、S = S20 {1 + 0.002 × (T-20)}で求められます。


熱流センサはお客様にてご用意ください。Hukseflux様などで取り扱っています。

Hukseflux様 Webサイト

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