アプリケーション・用途

変電設備における電力用高圧遮断器の動作試験

高圧遮断器の動作信頼性試験に最適なメモリハイコーダ MR8847A

各発電所で作られた電気エネルギーは、送電線、変電所、配電線などを介して末端の機器まで安全にかつ安定的に供給されます。変電所では電圧を変える変圧器のほか、地絡や短絡などの異常時に系統を切る遮断器が設置されています。遮断器の役割は極めて大きく、保護機器として瞬時に確実に遮断する高い動作信頼性が要求されます。そのため出荷時の検査はもちろん、設置後も定期的な保守・メンテナンスが求められます。

本アプリケーションノートでは、遮断器の開閉試験項目となる指令電流、接点動作までの時間および各相のばらつきやタイミングなどの測定に適したメモリハイコーダと、そのポイントについてご紹介します。

1. 遮断器の動作試験の概要

遮断器には電力系統によっていくつかの種類がありますが、共通する役割は「系統の電圧が印可されている中で電気接点を確実に、素早く開閉すること」です。
遮断器は、油圧装置などの機械的駆動機構で動作し、通常は数10 msの短時間内に5 ms~15 msの高速で電気接点を切り離す開路動作を行うことになります。さらに事故を除去した後は、送電停止時間を最短にして電力系統を維持するため、数100 ms~数秒後という短時間内に電気接点を投入する閉路動作を行うことも必要としています。
このような開閉動作時間を定期的に検査することは非常に重要な試験項目の一つであり、現場で確実かつ効率よく測定できることが要求されます。


2. 遮断器の動作試験にお勧めのHIOKI測定器

動作試験に必要な測定
三相回路であれば遮断器の電気接点は3つ存在します。これらは電力系統の異常時に接点動作指令信号を受けて同じタイミングで動作する必要がありますが、ばねで開閉する機械的な機構上、実際にはわずかな時間差が生じます。試験では指令信号を受けてから接点が動作するまでの時間、および各接点の動作時間のばらつきが規定値内に収まっているかを確認します。




遮断器を電路から切り離し、遮断器単体で試験します。
1.模擬の指令信号を電流プローブで測定
2.電気接点の動作信号をロジックプローブで測定(必要接点数)

メモリハイコーダ+クランププローブで指令信号と開閉動作の接点信号を同時測定し、各信号の相関や時間差等が規定値内であるかどうかを確認します。


遮常時高圧安定回路方式の基本動作特性
動作特性(指令電流から規定時間内の動作)
開路動作(アーク放電なく確実な規定時間内の切り離し動作)

動作解析による常時高圧安定回路方式の設計検討 
t1 < 規定の開極時間 または閉極時間 
t2 < 規定の各接点時間差


ポイント
MR8847Aは、アナログ信号と接点信号の多点記録ができます。また、数値演算機能により、基準となる指令電流の立ち上がりポイントから、接点が開極または閉極するまでの時間差が自動計測できます。その時間と設定した規定範囲を比較し、スピーディに良否判定ができ効率的です。



2. 遮断器の動作試験にお勧めのHIOKI 測定器

メモリハイコーダMR8847Aは、現場で安全かつ効率的に遮断器の動作試験ができる 
電源周波数50 Hzであれば1周期は20 msなので、一般的な記録計のサンプリング速度は10 kS/s~100 kS/sが目安となります。メモリハイコーダMR8847Aのサンプリングレンジは広く、10 kS/sに設定すれば、200ポイント(0.1 ms)の時間分解能でタイミングを検出できます。さらにサンプリングを100 kS/sに速く設定すれば、時間分解能は2,000ポイント(0.01 ms)となり、より時間分解能を上げた測定ができます。
また入力部は全チャネル絶縁入力で安全を担保し、現場で記録した結果は各種記録メディアに保存できるほか、その場ですぐにプリントもできます。現場使用を想定した堅牢設計のタフ&プロユースの波形記録計です。




電流プローブ(電流センサー)および電流ユニット
系統の異常時に遮断器を動作させる指令信号は直流電流です。そのため指令電流の測定には、DC帯域に対応した電流プローブが必要です。電流の大きさに合わせプローブの定格電流から機種選定をしてください。 
推奨品:AC/DCカレントプローブ CT6830(2 A)/CT6831(20 A) 

一般にDC電流プローブは「プローブを駆動させる電源供給のための配線」と「データを出力するための配線」の両方が必要です。3CH電流ユニット U8977は、専用コネクタを採用しており、電源供給に加えてデータ信号、電流プローブの定格などの情報取得を接続するだけのシンプルな配線で実現できます。


ロジックプローブ
一般的には外部から直流電圧を印可して接点信号を取り出しますが、オプションのロジックプローブを使用することで、接点信号を直接取得できます。また、メモリハイコーダMR8847Aは、標準でロジック入力16chを本体に装備しているため、ロジックプローブの出力を直接接続し取得できます。ロジック16ch測定までは、オプションのロジックユニットの必要はありません。



3. 関連製品のご紹介

変電設備の遮断器のメンテナンスにおいて、主回路接触抵抗を測定する用途にはHIOKIのポータブル抵抗計RM3548がお勧めです。webアプリケーションノートで概要を紹介しておりますので、こちらをご覧ください。 

変電所開閉機器のメンテナンス効率化 

デモ機のリクエスト、アプリケーションに関するご相談は、HIOKIお問い合わせ窓口までご連絡ください。

関連製品一覧

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