アプリケーション・用途

超絶縁計 SM7420で実現する、効率的な高精度多点絶縁抵抗測定

はじめに

複数の絶縁抵抗を同時に測定したいとお考えでしょうか?超絶縁計SM7420(4チャネル高感度電流計)は、お手持ちの外部電源と組み合わせるだけで、そのニーズにお応えします。独自のノイズに強いトライアキシャルコネクタにより、外来ノイズに影響されず信頼性の高い、正確な測定を実現します。 この記事では、SM7420を活用して多点絶縁抵抗測定を正確に行うための方法を解説します。

絶縁抵抗測定の原理(超絶縁計 SM7000シリーズ)

HIOKIの超絶縁計は、「定電圧法」と呼ばれる方式を採用しています。この方式では、電源から試験対象物(DUT)に一定の電圧が印加されます(これは、DUTがオンになり電流が流れる際の動作を模倣しています)。絶縁体に微細な亀裂や欠陥などの脆弱性がある場合、漏れ電流と呼ばれる不要な電流がそれらの箇所を通って流れます。 この結果として生じる漏れ電流は、超絶縁計内蔵の電流計(アンメータ)によって測定されます。その後、超絶縁計は、既知の電圧Vと測定された電流Iを用いて、オームの法則(R = V / I)に従って絶縁抵抗を計算します。


SM7000シリーズ 超絶縁計による絶縁抵抗測定の3つのステップ


1. 測定対象へ電圧印可:
お客様がお持ちの外部電源から、試験対象物に安定した電圧を加えます。


2. 微小な電流を高感度で捉える:
SM7420に内蔵された高感度電流計が、わずかな漏れ電流も確実に捉えます。


3. 抵抗値を算出:
演算用の設定電圧と測定された電流から、オームの法則(R = V / I)に基づき、絶縁抵抗値を算出します。


さらに詳しく知りたい方は、HIOKIの「絶縁抵抗測定の手引き(リンク)」をご覧ください。

絶縁抵抗測定を多チャネル化して検査効率アップ

超絶縁計SM7420(4チャネル高感度電流計)は、複数の絶縁ポイントを同時に測定したいお客様に最適なソリューションです。単一点の測定にはSM7110/SM7120が便利ですが、より多くのポイントを効率的に測定したい場合は、SM7420がそのニーズにお応えします。SM7110/SM7120と組み合わせれば、最大5チャネルの測定システムを構築することもできます。


項目 SM7110/SM7120 SM7420
測定チャネル数 1ch 4ch
高感度電流計 内蔵 内蔵
低ノイズ電源(測定電圧源) 内蔵 外部電源必須
こんなお客様に 簡単に絶縁抵抗測定したい方 複数の絶縁抵抗を効率的に測定したい方

表1 SM7110/SM7120とSM7420との比較

測定対象(DUT)との接続方法

既存の電源とSM7420を使用して測定するときの接続方法は図1の通りです。


 
図1 既存の電源を組み合わせて測定する際の接続例


SM7110/SM7120を電源として使用する場合の接続方法を図2に示します。



図2 SM7110/SM7120を組み合わせて測定する際の接続例

正確な測定のために知っておきたいポイント

  • 安全・安心のための電流制限: 
    測定システムの安全性を確保するために、各測定チャネルで電流制限抵抗1を使用することを推奨します。適切な電流制限抵抗の選択については、SM7420の取扱説明書付録をご覧ください。
  • 電圧設定: 
    抵抗値演算用に外部電源の出力電圧をSM7420に入力する必要があります。入力可能な最大電圧は5 kVです。電流計としてのみ使用する場合は、外部電源の電圧範囲内でご使用いただけます(測定器の故障を防ぐため適切な電流制限抵抗をご使用ください)。
  • 独立チャネルと共通接地: 
    SM7420の4つの電流測定チャネルは独立していますが、使用するすべてのチャネルのCOM端子(COM1~COM4)は、外部電源のCOM端子に接続してください(分岐ケーブルが必要な場合があります)。 
    お使いの外部電源のCOM端子が接地されている場合は、SM7420のCOM1~COM4端子も接地することで、そのまま測定できます。 
  • 最適な電源選び:
    測定誤差を減らすために、リップルノイズやスイッチングノイズの少ない安定した外部電源をご使用ください。
    HIOKIの絶縁抵抗計 SM7110/SM7120を電源として使用すると、SM7420の性能を最大限に引き出し、より安定した測定が可能です。

  1 DUTが短絡した場合、電流制限抵抗はSM7420の故障を防ぎます。さらに、1つのDUTが短絡しても、短絡したDUTを取り外すことなく、他のDUTの測定を継続できます。絶縁抵抗計 SM7110を電源として使用する場合、その電流制限機能により、電流制限抵抗を挿入しなくてもSM7420の故障を防ぐことができます。ただし、電流制限抵抗がない場合、短絡したDUTを取り外さない限り、ほかのDUTの測定を継続できません。このため、HIOKIはSM7110を使用する場合でも、電流制限抵抗の使用を推奨しています。


GUARD接続でより正確な測定を

DUT以外の不要な漏れ電流の影響を減らすために、DUTの近くまでGUARD接続を行うことを推奨します。
 GUARD端子は、以下のいずれかに接続してください。 

 A: 外部電源のCOM端子(図3参照)。 
 B: SM7420の赤いINPUTケーブルの内部シールド層(図3参照)。


 Structure of shielding wire of the Hioki-made measurement leads


図3 GUARD接続例

SM7110/SM7120とSM7420で5チャネル測定を行う

SM7110/SM7120とSM7420を組み合わせることで、最大5チャネルの絶縁抵抗を同時に測定できます。以下の図のように接続するだけで、SM7110/SM7120が電圧印加と1チャネル分の電流計測を、SM7420に内蔵された4つの電流計が残りの4チャネル分の電流を計測し、それぞれの絶縁抵抗を算出します。



図4 5チャネル絶縁抵抗測定システムの構成例


HIOKIのExcel®︎アドインで測定システム構築を簡単に

SM7420は、単独で使用するだけでなく、HIOKIのSequence Maker (Excel®︎通信コマンド送受信アドイン)を利用することで、さらに便利にご活用いただけます。外部電源とSM7420の制御を簡単に行うことができ、複雑な測定シーケンスも効率的に実行できます。
HIOKI Sequence Maker(Excel®通信コマンド送受信アドイン)の詳細はこちらをご覧ください。


お客様の絶縁抵抗試験の効率化に、ぜひHIOKIのソリューションをお役立てください。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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