製品情報

原理・測定方法・使い方

LCRメータの測定原理や測定方法、使い方の基礎知識について解説します。インダクターやコンデンサなど電子部品ごとの測定方法や注意点など詳しく解説します。

01. LCRメータの測定原理

LCRメータの基本測定原理

LCRメータはインピーダンスと呼ばれる物理量を測定する計測器です。インピーダンスは量記号「Z」で現され、交流電流の流れにくさを示します。測定対象へ流れる電流「I」と両端電圧「V」より求めることができます。
インピーダンスは複素平面上のベクトルとして表現されますので、LCRメータでは、電流実効値と電圧実効値の比だけでなく電流波形と電圧波形の位相差を測定します。

※ LCRメータの「製品一覧」は、 こちら を参照願います。

LCRメータの測定回路 自動平衡ブリッジ法 

LCRメータの計測回路として多く採用されている回路方式のひとつに「自動平衡ブリッジ法」があげられます。Hc,Hp,Lp,Lcの4つの端子を有し、全ての端子が測定対象に接続されます。回路概略と各端子の機能は下記参照ください。

Hc:
周波数、振幅が制御された測定信号を測定対象へ印加する発生端子です。周波数は数mHzから数MHzまで、振幅は5mVから5Vまで制御可能です。

Hp:
測定対象のHi側電位を検出します。検出回路の入力インピーダンスは非常に高く、電圧降下なく正確に電位検出が可能です。

Lp:
測定対象のLo側電位を検出します。

Lc:
検出抵抗により測定対象に流れる電流を電圧変換し検出します。Lc端子の電位は常に0Vになるよう動作します。

LCRメータの測定回路 二端子法・五端子法・四端子対法

自動平衡ブリッジ法を採用したLCRメータでは4端子がすべてBNCコネクタとなっています。測定信号や検出信号へ外部からノイズが混入しないよう、シールドで覆っている同軸構造です。検出回路の構造としては、五端子法と四端子対法が一般的です。
もっとも簡易的な構造である二端子法の欠点を解決することができます。


二端子法:
測定対象に二端子で接触する構造です。測定値は配線抵抗や接触抵抗を含んだ結果となり、測定対象が低インピーダンスのときには影響が大きくなります。また、ケーブル間に浮遊容量が存在するため、高周波での測定や高インピーダンス測定のときには測定信号が測定対象だけでなく浮遊容量にも流れてしまい誤差要因となります。

五端子法:
信号電流用ケーブルと、電圧検出用ケーブルが独立していますので配線抵抗や接触抵抗の影響を低減することができます。また、シールドケーブルを使用しシールド同士を同電位にすることで浮遊容量の影響を低減します。低インピーダンスから高インピーダンスまで測定誤差を低減できる方式です。

四端子対法:
測定電流によって生じる磁界の影響を低減し、低インピーダンスから高インピーダンスまで測定誤差を低減できる方法です。ケーブルのシールドを利用して電流の往路と復路を重ねることで、発生する磁界を打ち消すことができます。

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02. LCRメータの使い方 基礎知識

LCRメータの代表的な演算式

インピーダンスZは実数部(Rs)と虚数部(X)で構成されており、複素平面上に展開すると各パラメータ値を求めることができます。次式はインピーダンスの関係を演算式としてあらわしたものです。

等価回路モードについて

LCRメータは測定対象に流れる電流と測定対象の両端の電圧を計測しZとθを求めています。そして、L,C,Rなどの測定パラメータはZとθから算出しています。測定パラメータ値算出の演算式は、直列等価回路モードか並列等価回路モードかで異なります。LCRメータ側では、測定対象がどちらの回路モードなのかを判断することができませんので、誤差を低減するためには正しい等価回路モードを選択する必要があります。直列等価回路モードはCs(またはLs)と抵抗成分Rsが直列に接続していると仮定し、並列等価回路モードはCp(またはLp)と抵抗成分Rpが並列に接続していると仮定して計算しています。
一般的に、大容量のコンデンサや低インダクタンスなどの低インピーダンス素子(約100Ω以下)を測定する場合には直列等価回路モードが用いられ、低容量のコンデンサや高インダクタンスなどの高インピーダンス素子(約10kΩ以上)を測定する場合は、並列等価回路モードが用いられます。
各等価回路モードの測定値は計算により求めていますので、両方の値を表示することが可能ですが、測定対象によって適切な等価回路は異なりますので、ご注意ください。

オープン補正、ショート補正について

測定対象を測定する際に使用するテストフィクスチャには残留成分があり、図のような等価回路で表すことができます。そのため、測定値Zmは次の式のように残留成分を含んだ式として表されます。真値Zxを求めるためにはオープン残留成分とショート残留成分を求めて測定値を補正する必要があります。この補正をそれぞれオープン補正、ショート補正と呼びLCRメータにはこれらの機能が搭載されています。

Zm:
測定値

Zs:
ショート残留インピーダンス(Rs:残留抵抗、Ls:残留インダクタンス)

Yo:
オープン残留アドミタンス(Go:残留コンダクタンス、Co:浮遊容量)

Zx:
真値(測定対象のインピーダンス)

測定信号レベル

LCRメータから出力された測定信号は出力インピーダンスRと測定対象Zxで分圧されます。設定した測定信号レベルVがそのまま測定対象Zxに印加されるわけではありません。

LCRメータには3つの測定信号モードがあります。

開放電圧(V)モード:
図の測定信号レベルVを設定します。測定端子開放時の電圧です。

定電圧(CV)モード:
図のVx(測定対象Zxの端子間電圧)を設定にします。高誘電率のMLCCなどの電圧依存性のある測定対象を測定する場合に使用します。

定電流(CC)モード:
図のI(測定対象Zxに流れる電流)を設定します。コア入りのインダクタなどの電流依存性のある測定対象を測定する場合に使用します。

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03. 電子部品ごとの測定方法

積層セラミックコンデンサ (MLCC) の容量測定

積層セラミックコンデンサ(MLCC)には測定電圧によって容量が変化する高誘電率型と,変化しない温度補償型があります。容量を規定するときの測定条件は、温度補償型・高誘電率型それぞれJIS規格で定められています。


測定条件の設定例


※その他は初期設定

※これは測定例です。最適な条件は測定対象によって異なるため、使用者が決めてください。


JIS C5101-21表面実装用固定磁器コンデンサ種類1 温度補償型(CH,C0G等) (IEC30384-21)


JIS C5101-22表面実装用固定磁器コンデンサ種類2 高誘電率系(B,X5R等) (IEC30384-22)


※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は、開放端子電圧を出力抵抗と試料で分圧した電圧です。
※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は開放端子電圧と、出力抵抗、試料のインピーダンスより計算できます。
※2 試料のインピーダンスが不明な場合や、ばらつきの大きい複数の試料を測定する場合はCVモードが便利です。


高誘電率系のコンデンサについて

温度特性がB、X5R、X7Rなどと表記されているコンデンサには高誘電率の材料が用いられています。
高誘電率系のコンデンサは小型・大容量を実現できる一方で、測定電圧や温度によって容量が大きく変化してしまうといった特徴があります。




測定器のご紹介


量産向け



研究開発・受け入れ検査などに



パラメータ(CsとCp)の決め方

各周波数でのインピーダンスの目安(Dが小さいとき)



コンデンサの等価回路

大容量のコンデンサ:Cのインピーダンスが低いためRpを無視できる。直列等価回路に設定する。

小容量のコンデンサ:Cのインピーダンスが高いためRsを無視できる。並列等価回路に設定する。


一般的に、大容量コンデンサのような低インピーダンス素子(約100Ω以下)を測定する場合は直列等価回路モード、小容量のコンデンサのような高インピーダンス素子(約10kΩ以上)を測定する場合は並列等価回路モードが用いられます。約100Ω~10kΩのインピーダンスなど等価回路モードが不明な場合は、部品製造元に確認をしてください。

 実際のコンデンサは図のように理想コンデンサCに直列にRs、並列にRpがつながったような動作をします。通常Rpは非常に大きく(MΩ以上)、Rsは非常に小さい(数Ω以下)です。理想コンデンサのリアクタンスは容量と周波数より、Xc=1/j 2πf C[Ω]と計算できます。Xcが小さいとき、RpとCを並列にしたインピーダンス≒Xcとみなせます。一方、Xcが小さいとRsを無視することができないため、全体ではXcとRsの直列等価回路とみなすことができます。Xcが大きい時は逆で、Rpは無視できませんがRsは無視できるので並列等価回路となります。


開放電圧(V)モードと定電圧(CV)モードの違い

開放電圧とは、何も試料がつながっていないときにHc端子に発生する電圧です。開放電圧を出力抵抗と試料で分圧した電圧が試料に印加されます。

 定電圧(CV)モードでは試料両端の電圧を設定します。IM35xxでは電圧のモニタ値を読んで、ソフト的にフィードバックをかけてCVにしています。3504-xxではハード(アナログ回路)的にCVにしているので高速に定電圧測定ができます。3506-10は開放電圧(V)モードのみですが、出力抵抗が小さい(1kHzの2.2uFレンジ以上では1Ω、それ以外の条件で20Ω)ため他の機種よりも 開放端子電圧≒測定電圧 となる試料のインピーダンスが低いのが特徴です。




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電解コンデンサの容量測定

電解コンデンサの容量を規定するときの測定条件はJIS規格で定められており、コンデンサメーカの公称値はJIS規格に従った測定値となります。しかしながら、電解コンデンサの静電容量値は、測定周波数によって大きく異なるため、実際に使用する回路条件に合わせた周波数でも容量値を確認します。
電解コンデンサの内部電極部の抵抗や電解質抵抗などによる等価直列抵抗(ESR)または損失角の正接D(tanδ)を容量測定と同じ条件で測定します。


測定条件の設定例:


※その他は初期設定

※これは測定例です。最適な条件は測定対象によって異なるため、使用者が決めてください。

※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は、開放端子電圧を出力抵抗と試料で分圧した電圧です。

※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は、開放端子電圧と、出力抵抗、試料のインピーダンスより計算できます。

※2 DCバイアス印加は省略可能です


低インピーダンス高精度モード:

低インピーダンス高精度モードでは出力抵抗が下がり、測定電流が増加して繰り返し測定精度が向上します。100μFを超えるような大容量(低インピーダンス)のコンデンサを測定する場合、より安定して測定できます。右のグラフはIM3570を使って、低インピーダンス高精度モードON/OFFで繰り返し精度を比較したものです。(100kHz、1Ωレンジ、1V)

※低インピーダンス高精度モードが有効になる条件は機種によって異なります。各機種の取り扱い説明書を参照してください。


100mΩの抵抗を繰り返し測定


測定器のご紹介:

量産向け


研究開発、受入検査向け



等価直列抵抗 (ESR) および損失係数D (tanδ) について:

電解コンデンサの一般的な等価回路は下図のようになります。
ここで、低周波(50Hz~1kHz)では等価直列インダクタンスLによるリアクタンス(XL)はごく小さいため零とみなし、このときの各素子の抵抗成分、リアクタンス成分は、複素平面上において下図のようなベクトル関係になります。
コンデンサは、R=0、損失係数D=0が理想ですが、実際には電解コンデンサの場合には、電極箔の抵抗、電解質の抵抗、引出しリードの抵抗および各部の接続抵抗などの抵抗成分が存在するため、等価直列抵抗ESR、または損失係数D(tanδ)は、電解コンデンサの良し悪しを評価する指標となります。
IM3533やIM3536では4つのパラメータを同時に測定、表示することが可能ですので、表示例のように電解コンデンサの評価指標として、リアクタンスX、静電容量C、等価直列抵抗Rs、損失係数Dを同時に確認することができます。


電解コンデンサの等価回路


 

           ベクトル図                       IM3536の表示例


DCバイアス機能:

電解コンデンサには、一般的な有極性タイプと、両極性タイプがあり、有極性タイプでは必要に応じて直流バイアス電圧を加えてコンデンサに逆電圧が加わらないようにします。
 IM3533やIM3536には内部DCバイアス機能があるため、外部直流電源を準備しなくともDCバイアスを印加することができます。



CsとCpの決め方:

一般的に、大容量コンデンサのような低インピーダンス素子(約100Ω以下)を測定する場合は直列等価回路モード、小容量のコンデンサのような高インピーダンス素子(約10kΩ以上)を測定する場合は並列等価回路モードが用いられます。約100Ω~10kΩのインピーダンスなど等価回路モードが不明な場合は、部品製造元に確認をしてください。


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タンタルコンデンサの容量測定

タンタルコンデンサは陽極にタンタル金属を使った電解コンデンサの一種です。他のコンデンサと比べ小型・大容量で、セラミックコンデンサの大容量品と比較して、電圧・温度特性に優れているのが特徴です。測定条件はJIS規格で定められており、静電容量C、等価直列抵抗Rs(ESR)、損失角の正接D(tanδ)やインピーダンスZを測定します。

測定条件の設定例:


※その他は初期設定
※これは測定例です。最適な条件は測定対象によって異なるため、使用者が決めてください。

JIS C5101-3 表面実装用固定タンタル固体(MnO2)電解コンデンサ
(IEC 60384-3)


JIS C5101-15固定タンタル非固体又は固体電解コンデンサ
(IEC 60384-15)


JIS C5101-24表面実装用固定タンタル固体(導電性高分子)電解コンデンサ
(IEC 60384-24)


※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は、開放端子電圧を出力抵抗と試料で分圧した電圧です。
※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は、開放端子電圧と、出力抵抗、試料のインピーダンスより計算できます。
※2 DCバイアス印加は省略可能です。
※3 双極性コンデンサにはDCバイアスを印加しない。
※4 測定電圧0.5 Vp以上の時のみ印加する。

CsとCpの決め方:
一般的に、大容量コンデンサのような低インピーダンス素子(約100Ω以下)を測定する場合は直列等価回路モード、小容量のコンデンサのような高インピーダンス素子(約10kΩ以上)を測定する場合は並列等価回路モードが用いられます。約100Ω~10kΩのインピーダンスなど等価回路モードが不明な場合は、部品製造元に確認をしてください。

測定器のご紹介:
量産向け

研究開発、受け入れ検査などに



4端子対法:
試料Zxの近くでシールド同士を接続すると、測定電流Iがシールドを介して戻ります。このシールドを戻っていく電流によって生じる磁束が、測定電流Iによって生じる磁束打ち消すため、特に低インピーダンスの測定に対して測定誤差を低減できます。(IM35xx)


連続測定モード:
IM35xxシリーズの連続測定機能は、異なる設定項目を異なる設定条件(周波数、レベル)で連続測定することができます。
下の例ではCs -D測定(120Hz)とESR測定(100kHz)を連続測定しています。


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導電性高分子コンデンサの容量測定

導電性高分子コンデンサは,アルミ電解コンデンサに比べESR(等価直列抵抗)が低く,温度変化においても安定した特性を持っています。また,DCバイアスに対する静電容量の安定性にも優れています。測定条件はJIS規格C5101-25-1で定められており,等価直列抵抗(ESR)や損失角の正接D(tanδ)を測定します。

測定条件の設定例:

※その他は初期設定
※これは測定例です。最適な条件は測定対象によって異なるため、使用者が決めてください。

JIS C5101-25-1表面実装用固定アルミニウム固体(導電性高分子)電解コンデンサ
(IEC 60384-25-1)

※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は、開放端子電圧を出力抵抗と試料で分圧した電圧です。
※1 測定電圧(=試料に印加される電圧)は、開放端子電圧と、出力抵抗、試料のインピーダンスより計算できます。
※2 DCバイアス印加は省略可能です

低インピーダンス高精度モード:
低インピーダンス高精度モードでは出力抵抗が下がり、測定電流が増加して繰り返し測定精度が向上します。100μFを超えるような大容量(低インピーダンス)のコンデンサを測定する場合、より安定して測定できます。下のグラフはIM3570を使って、低インピーダンス高精度モードON/OFFで繰り返し精度を比較したものです。(100kHz、1Ωレンジ、1V)
※低インピーダンス高精度モードが有効になる条件は機種によって異なります。各機種の取り扱い説明書を参照してください


測定器のご紹介:
量産向け

研究開発、受け入れ検査などに


等価回路解析機能:
等価回路解析機能によって部品を構成するL,C,Rの各要素を個別に解析可能です。
以下の図では,IM3570+IM9000で導電性高分子コンデンサのESRとESLを計測しています。


連続測定モード:
IM35xxシリーズの連続測定機能は、異なる設定項目を異なる設定条件(周波数、レベル)で連続測定することができます。下の例ではCs-D測定(120Hz)とESR測定(100kHz)を連続測定しています。


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インダクタ (コイル) のインダクタンス測定

コイルには空芯(コアが空気または非磁性材料)のものと、コアにフェライトなどの磁性体(=透磁率の高い材料)を用いたものがあります。コア入りのインダクタには電流依存性があります。

測定条件の設定例:

※その他は初期設定
※これは測定例です。最適な条件は測定対象によって異なるため、使用者が決めてください。

測定周波数の設定について:
コイル(インダクタ)のもつインダクタンスと、コイルの寄生容量でLC共振する現象を自己共振と呼びます。また、この自己共振がおこる周波数を自己共振周波数と呼びます。コイルの評価では自己共振周波数よりも十分低い周波数でLとQを測定してください。
 コイルのインピーダンスはZ=j2πfLで計算でき、高周波数ほど高くなります。周波数を変えて測定する際は、測定レンジをAUTOに設定すると効率よく測定できます。より精度よく測定するためには、確度の良いレンジで測定できるインピーダンスとなるような周波数に設定してください。


測定信号レベルの設定について:
測定電流は開放端子電圧と、出力インピーダンス、被測定物のインピーダンスから計算することができます。定格電流を超えないように測定電圧を設定してください。
電流依存性のあるコイル(=磁性体コア)の測定では、磁性体が飽和しない信号レベルに設定してください。電流依存性の無いコイルであれば最も確度の良い信号レベルになる設定を推奨します。IM35xxシリーズではVモードの1Vが最も確度のよい設定です。IM758xシリーズではDUTポート50Ω終端時のパワーで測定信号レベルを規定しており、最も確度が良い設定は+1dBmです。
コア入りのコイルや、定格電流が小さいコイルなどを測定する場合はIM35xxシリーズで設定できるCC(定電流)モードが便利です。測定電流が一定になるようにソフトウェアで制御しています。


測定器のご紹介:
量産向け

研究開発、受け入れ検査などに


LsとLpの決め方:
一般的に、低インピーダンス素子(約100Ω以下)を測定する場合は直列等価回路モードが用いられ、高インピーダンス素子(約10kΩ以上)を測定する場合は並列等価回路モードが用いられます。約100Ω~10kΩのインピーダンスなど等価回路モードが不明な場合は、部品製造元に確認をしてください。
インダクタは図のように理想インダクタLに巻線の銅損Rs、コアの鉄損Rpがつながったような動作をします。理想コイルのリアクタンスXLはXL=j2πfLと計算できます。RsやRpの大きさによるので一概には言えませんが、低インダクタンスのコイルはXLが小さいので、RpとLを並列にしたインピーダンス≒XLとみなせます。一方RsはLsが小さいので無視することはできないので、直列等価回路となります。高インダクタンスでは逆で、Rpは無視できませんがRsは無視できるので並列等価回路となります。



コイルに流れる電流:
コイルに流れる電流は開放端子電圧と、出力インピーダンス、被測定物のインピーダンスから計算することができます。


※1 出力インピーダンスは機種や低インピーダンス高精度モードが有効になっているかどうかによって異なります。取扱説明書に記載してある製品仕様欄を参考にしてください。

Rdc測定について:
コイルの評価ではL、Q、Rdcを測定します。IM3533やIM3536などは1台でL、Q、Rdcの測定ができます。交流信号でLとQを測定した後、直流信号でRdcを測定します。
※Rs、Rp=Rdcではありません。RsやRpは交流で測定した抵抗です。RsやRpにはコアの損失、表皮効果や近接効果によって増加した巻線抵抗などが含まれます。
巻線材の温度係数が大きいと、温度によってRdcが変化してしまいます。IM3533にはRdcの温度補正機能があります。


直流重畳特性について:
コイルの特性の一つに直流重畳特性というものがあります。直流電流に対するインダクタンスの低下を表したもので、電源回路のように大電流を流す回路向けのコイルにとって重要な評価項目です。
 弊社LCRメータに内蔵されているDCバイアス電圧印加機能はコンデンサ測定用であり、直流電流を流すことはできません。直流電流を重畳するにはDCバイアス電流ユニット9269(または9269-10)と外部電源を使うか、回路を自作してください。
※DCバイアス電流重畳回路は各LCRメータ取説後方の付録ページを参照してください。


ディレイ時間の設定方法:

LCRメータのRdc測定では測定誤差を減らすため、発生電圧をON/OFFさせて本体内部のオフセットをキャンセルしています(DCアジャスト機能)。
インダクタへの印加電圧が切り替わる時、出力抵抗やインダクタの等価直列抵抗、インダクタンスによる過渡現象が生じます。Rdc測定の際は過渡現象の影響を受けないように十分に長いディレイ時間を設定してください。ディレイ時間の名称や測定のタイミングは機種によって異なります。各機種の取扱説明書を参照してください。
適切なディレイ時間がわからない場合、まずはできるだけ長いディレイ時間を設定します。その時の測定値が変化しない範囲でディレイ時間を徐々に短くしていってください。



※ LCRメータの「製品一覧」は、 こちら を参照願います。

トランス (変圧器) のインダクタンス測定

交流の電圧はトランス(変圧器)を用いて昇圧、降圧することができます。基本構造は、鉄心に1次コイルと2次コイルを巻きつけた構造になっています。
電流が流れるとコイル内部に磁界が発生し、電圧が生じます。この電圧の大きさは「コイルの巻数」に比例します。例えば1次コイル(入力側)の巻数が100巻、2次コイル(出力側)の巻数が200巻の場合、出力側巻数が2倍なので、入力側に100Vの電圧をかければ、出力側には200Vの電圧が生じることになります。ただし、トランスの1次側と2次側で電力は変わりません。



測定条件の設定例:



※1 インダクタのアプリケーションノート参照
※その他は初期設定
※これは測定例です。最適な条件は測定対象によって異なるため、使用者が決めてください。



トランスはインダクタ応用のひとつであり、その測定法はインダクタの場合と同様です。
トランス測定における主な評価パラメータは以下のようなものがあります。

・ 1次インダクタンス(L1)および2次インダクタンス(L2)
・ 漏れインダクタンス
・ 巻線間容量(C)
・ 相互インダクタンス(M)
・ 巻数比

それぞれの測定法法の詳細を次頁以降に示します

測定器のご紹介:


量産向け

研究開発、受け入れ検査などに


1次インダクタンス(L1)および2次インダクタンス(L2):

右図に示すように、1次側または2次側に測定器を直接接続することにより、1次インダクタンスや2次インダクタンスを測定することができます。ただし、他の巻線はすべて開放状態にしておきます。インダクタンス測定結果には、巻線の分布容量の影響が含まれることに注意してください。


漏れインダクタンス:

理想的なトランスでは、出力を短絡すると入力も短絡されます。しかし、実際のトランスでは出力を短絡しても漏れインダクタンスが残ります。漏れインダクタンス(leakage inductance)は、上図に示すように、2次側を短絡し、1次側のインダクタンスを測定することにより得ることができます。


漏れインダクタンスとは
トランスの1次巻線と2次巻線の双方と鎖交する磁束を主磁束(φ12またはφ21)といいます。トランスの磁束はこの他に、1次巻線とだけ鎖交し2次巻線とは鎖交しない1次側漏れ磁束(φσ1)と2次巻線とだけ鎖交し1次巻線とは鎖交しない2次側漏れ磁束(φσ2)とがあります。
理想的な変圧器の場合は主磁束のみしか存在しませんが、実際のトランスには磁気漏れがあるので必ず漏れ磁束が存在します。この漏れ磁束は1次側、2次側それぞれの巻線のみしか鎖交しないために、変圧作用には寄与しません。また同時に、それぞれの巻線のみしか鎖交しないということはそれぞれの巻線のインダクタンスとして寄与していることを意味します。このようにして、1次側漏れ磁束は1次側漏れインダクタンスとなり、2次側漏れ磁束は2次側漏れインダクタンスとなります。

巻線間容量:

1次側と2次側の間の巻線容量は、右図に示すように、各巻線の片方ずつを測定機に接続することにより測定できます。


相互インダクタンス:

相互インダクタンスは、同相直列・逆相直列接続にしてインダクタンスを測定し、下図に示した式を使って計算することにより、得ることができます。


巻数比:

巻数比は右図に示すように、2次側に抵抗Rを接続し、1次側でインピーダンス値Zを測定することにより、近似値を求めることができます。


また、1次インダクタンスL1、2次インダクタンスL2を測定することで、巻数比を算出できます。ただし、磁気漏れ等の影響を受けますので近似値となります。



LCRメータIM3533/IM3533-01のトランス測定機能を用いれば、相互インダクタンス、巻数比、インダクタンス差を求めることができます。
IM3533/IM3533-01の巻数比測定は1次、2次インダクタンス値を測定して求めます。

※ LCRメータの「製品一覧」は、 こちら を参照願います。

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