製品情報

クランプメーターの機能と使い方・選び方

クランプメーターの機能と使い方・選び方を説明いたします。負荷電流(交流電流・直流電流)や漏れ電流など、クランプメーターの用途による使い方や選び方が分かります。

00. クランプメーターの使い方・選び方・機能紹介ビデオ集

クランプメーターの使い方・選び方: 実効値型と平均値型

歪んだ電流波形の測定に適したクランプメーターを選ぶポイントをご紹介します。

クランプメーターの使い方・選び方: 半波整流などの特殊波形での違い

半波整流などの特殊な電流波形の測定に適したクランプメーターを選ぶポイントをご紹介します。


クランプメーターの使い方・選び方: 周波数特性による電流値の違い

クランプメーターの周波数帯域による電流値の違いについてご説明します。

クランプメーターの使い方・選び方: 直流電流測定

太陽光パネルなどの直流電流測定に適したクランプメーターを選ぶポイントをご紹介します。

クランプメーターの使い方・選び方: 漏れ電流の測定とフィルター機能のご紹介

漏れ電流(リーク電流)の測定に適したクランプメーターを選ぶポイントと、フィルター機能をご紹介します。

クランプメーターの使い方・選び方: 始動電流の測定

モーターやエンジンの始動電流の測定に適したクランプメーターを選ぶポイントをご紹介します。


クランプメーターの使い方・選び方: 電流センサ

電流センサとしてお使いいただける、出力機能付きのクランプメーターをご紹介します。


01. クランプメーターの種類

クランプメーターの種類

クランプメーターは負荷電流測定タイプと漏れ電流測定タイプの2種類があります。 

負荷電流測定タイプ:
数A以上の電流を測定できるクランプメーター

漏れ電流測定タイプ:
数A以下(mA,μA)の電流を測定できるクランプメーター

そして、それぞれ測定できる電流の種類が3種類あります。

ACクランプメーター(交流電流):
商用電源周波数(50Hz/60Hz)を中心に周波数帯域特性を有しているもの(例:40Hz~1kHz)。また、商用電源周波数以下の汎用インバータ(50Hz以下)まで測定可能な周波数帯域特性を有しているもの(例:10Hz~1kHz)。

AC/DCクランプメーター(交流/直流電流):
交流電流と直流電流どちらも測定可能なもの。また、直流電流に交流電流が重畳しているもの(AC+DC)が測定可能なもの。

DCクランプメーター(直流電流):
直流電流のみ測定可能なもの。

また、整流方式の違いで平均値整流形(MEAN)と実効値整流形(Ture-RMS)の2種類のクランプメーターが存在します。

クランプメーターの整流方式

電流波形を実効値に変換する方式は「真の実効値方式:Ture-RMS(真の実効値指示)」と「平均値方式:MEAN(平均値整流実効値指示)」があります。

歪みのない正弦波ではどちらも同じ値を示しますが、波形が歪んでくると指示する値(表示の値)が異なります。歪みは半導体等の非線形負荷が原因で起こります。ほとんどの電流測定において歪みのない電流波形はないため、正しい実効値を求めたい場合は、真の実効値方式のクランプメーターがおすすめです。

※ クランプメーターの「製品一覧」は、こちらを参照願います。

02. クランプメーターの基本的な使い方

負荷電流クランプメーターの使い方

負荷電流測定の場合、図のように単相2線であれば2本をはさむのでなく、そのうちのどちらか1本をはさみます。 クランプメーターは電流から発生する磁界を測定しており、負荷に対して往復する2線では同量の逆向きの磁界が形成されるため、2つの磁界は打ち消し合い、クランプメーターがはさんだ2線の測定電流値はゼロになってしまうためです。 三相線の場合は R, S, T のそれぞれの電線をはさんで、それぞれの電流値を測定する必要があります。

漏れ電流測定クランプメーターの使い方

漏れ電流測定の場合は図のように単相2線であれば2本をはさみます。 クランプメーターは電流から発生する磁界を測定しており、負荷に対して往復する2線では同量の逆向きの磁界が形成されるため、2つの磁界は打ち消し合います。漏れ電流がある場合は、この2つの磁界に差が生じ、クランプメーターがはさんだ2線の測定電流値は漏れ電流になります。 三相線の場合は R, S, T 3本の線を一緒にクランプします。また接地線をクランプすることによっても、漏れ電流を測定することが可能です。

03. クランプメーターの選び方

クランプメーターの正しい選び方

1. 漏れ電流測定タイプか、負荷電流測定タイプか選びます。漏れ電流測定タイプのものでも、商用周波数 (50 / 60Hz) 近辺以上の負荷電流測定が可能です。
(クランプメーターの種類参照)

2. 負荷電流の場合、平均値整流方式か真の実効値整流方式か確認します。平均値整流方式であると歪んだ電流波形の実効値を正確に測定することはできません。
(クランプメーターの整流方式参照)

3. 直流電流測定か交流電流測定か、交流電流測定の場合でもインバーターの2次側電流のように周波数が変化する場合があります。このような場合はクランプメーターの周波数帯域を確認します。
(クランプメーターの種類参照) 

4. 測定する配線の最大太さがはさめるかを確認します。
(クランプメーターの測定可能導体径について参照)

5. 測定しようとしている負荷の最大電流値が、クランプメーターの電流レンジの範囲か確認をしてください。 

6. そのほかクランプメーターには直流・交流電圧測定、抵抗測定、導通チェックなどのテスター機能を持っている製品があります。必要な機能を確かめて選んでください。 

7. そのほかの機能・仕様に関しては、各製品のカタログを参照願います。

クランプメーターの測定可能導体径について

選定したクランプメーターのクランプ径で、どのくらいの電線をクランプ可能か、図により確認をお願いいたします。


04. クランプメーターの機能と使い方紹介

電流測定

・ ロータリースイッチの設定を1のようににする。
・ 2の操作で0アジャストを実効する。
・ 電線を3のようにクランプする。
・ 4の操作で「AUTO」「交流電流測定」「直流電流測定」「交流+直流電流測定」「周波数」適正なファンクションを決める。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

HOLD機能

MANUAL HOLD:

・ HOLDキーを押すと表示測定値をHOLDします。

AUTO HOLD:

・ HOLDキーを1秒間押し続けるとAUTO HOLD機能が有効になります。
・ 図にように測定値が安定すると自動的にHOLDされます。
・ クランプを外しても測定値のHOLDは有効です。
・ HOLD表示された測定値を手書き等、記録に残します。
・ 再びクランプすると測定値が安定すると自動HOLDします。
・ 測定と記録を繰返す作業に便利な機能です。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

フィルタ機能

・ 100Hzまでの周波数測定において、ノイズの影響がなく測定できるようフィルタを入れることができます。
・ ノイズ等の影響を受けずに電源周波数近辺の電流値を測定したい場合に便利です。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

MAX/MIN/AVG/PEAK機能

・ MAX/MIN/AVGは表示測定値(実効値)の期間内最大・最小・平均値を記録する機能です。
・ PEAK MAX, PEAK MIN 機能は、10kHzサンプリングしたうちの電流波形ピークの最大値と最小値になります。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

直流電流・直流電圧の波形ピーク測定

・ 1のように車のバッテリーの端子と+側電線をクランプし、ロータリースイッチの設定を図の位置にします。
・ 2のようにキー操作を行います。
・ エンジンをスタートします。
・ 4の操作により、エンジン始動時の瞬間的な直流電流の最大値・最小値、直流電圧の最大値・最小値を読み出すことができます。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

始動電流測定(INRUSH)

・ モーターなどの負荷の電源を落とします。
・ 2のようにロータリースイッチの位置を決めます。
・ 3の操作でゼロアジャストを実行します。
・ 負荷回路の電線を4のようにクランプします。
・ 5の操作で INRUSH 機能を有効にします。
・ モーターなどの負荷を起動(始動)します。
・ 7に示すように PEAK(最高波高値)と突入電流(始動電流)発生期間の実効値を読み取ることができます。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

そのほかの測定機能 電圧測定

・ 測定リードをクランプメーターに接続します。
・ 1のようにロータリースイッチの設定を電圧測定に選択します。
・ 2のように測定したい箇所に測定リードをあてます。
・ 3の操作で AUTO/交流電圧/直流電圧/交流+直流電圧/周波数 のうち適正なファンクションを決定します。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

そのほかの測定機能 導通チェック・抵抗測定・ダイオード測定

・ 図の位置にロータリースイッチを設定します。
・ SHIFTキーの操作で、導通チェック・抵抗測定・ダイオード測定が可能です。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

そのほかの測定機能 静電容量測定・温度測定

・ ロータリースイッチを TEMP に設定し、SHIFTキー操作で静電容量測定と温度測定ができます。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

そのほかの測定機能 検電・直流電流電圧の同時表示・直流電力測定

ロータリースイッチの設定を図の位置に定めて、SHIFTキー操作により、検電と直流電流・電圧の同時表示と太陽光発電システムの直流電力測定が可能です。

※ クランプメーター CM4370シリーズ の使い方例です。

05. クランプメーターの測定原理

クランプメーターの測定原理 CT方式

クランプメーターは電流から発生している磁界をセンサで捉え、それを電流換算することで電流測定をしています。測定方式は以下となります。

CT方式のクランプメーターの測定原理は以下になります。

構造:
磁気コアにコイルを巻いた構造

原理:
変圧器の応用で1次側を1本の巻き線(クランプではさんだ線)、2次側をN巻きの線(磁気コアに巻いてある線)で受け、電流を測定する。原理上、2次側開放状態で1次側に電流を流すと、2次側に電流を流そうとして開放端に高電圧が発生するため、注意が必要。

メリット:
直線性や測定範囲が広い

デメリット:
直流電流の検出ができない

クランプメーターの測定原理 ホール素子方式

クランプメーターは電流から発生している磁界をセンサで捉え、それを電流換算することで電流測定をしています。ホール素子方式の測定原理は以下となります。

構造:
磁気コア内の隙間にホール素子を入れる構造

原理:
クランプではさんだ線から発生する磁界を、ホール素子で電圧に変換し、電流に換算する。

メリット:
直流電流と交流電流どちらも測定できる

デメリット:
センサ部の筐体、磁気回路、磁気コアの設計によって性能が大きく変わる

クランプメーターの測定原理 ロゴスキー方式

クランプメーターは電流から発生している磁界をセンサで捉え、それを電流換算することで電流測定をしています。ロゴスキー方式のクランプメーターの測定原理は以下となります。

構造:
コアレスで非磁性体にロゴスキーコイルを巻いた構造

原理:
電流に応じて、コイルの両端に微分された電圧波形が出力され、それを積分して電流に換算する。

メリット:
コアがないため、曲げられる。周波数帯域が広い

デメリット:
交流しか測れない。

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