アプリケーション・用途

パワーアナライザーを用いたコイルの直流電流重畳試験

大電流化しているコイルの直流電流重畳試験(DC 電流バイアス試験)がパワーアナライザーにより高確度で可能であることを証明しました。

課題: DC 電流バイアス試験の課題

コイルの直流電流重畳試験(DC 電流バイアス試験)は、直流電源とLCR メータ、保護用回路で構成されます(図1)。試験は直流電源の電流をスイープさせながら、LCR メータによりインダクタンス値を記録します。記録したデータから「L-I 特性グラフ」を描きます(図2)。保護用回路は直流電源で発生させる最大電流や測定周波数などにより、計測器メーカーが用意しているもの、もしくは要求仕様に合わせて製作することになります。直流電流重畳試験システムを扱うメーカーもありますが、200A から300A が最大で、それ以上の電流値の試験はできません。

コイルの直流電流重畳試験では、以下課題があります。
・最大電流や周波数の制限があるため、一度購入もしくは製作した保護用回路が使えない場合がある
・市販の直流電流重畳試験システムは200A から300A が最大で、それ以上の電流値の試験ができない

直流電流バイアス試験器との比較

4 mH のリアクトルを用意し(図3)、Wayne Kerr 社製 直流バイアス試験セットで、測定周波数を1 kHz, 0 A から30 A までインダクタンス値を記録しました。また同時に日置電機製のパワーアナライザ PW6001 を用い、バイアス装置のDC に重畳したLCR メータの測定AC 電圧と測定AC 電流の値と位相角の計測値からインダクタンス値を求める演算式を内部に設定し、インダクタンス値を測定しました(図4)(図5)。

試料,設備写真提供: 東京精電株式会社様
http://www.tokyo-seiden.co.jp/

3260B の測定条件はCV 1V , f=1kHz に設定したので計算上は0.04A の測定電流です。この微小な交流電流をカレントプローブとPW6001 の組み合わせで高確度に測定できた結果、3260B とPW6001 のインダクタンス値が一致していることが証明できました。

パワーアナライザーとバイポーラ電源の直流電流バイアス試験

Wayne Kerr 社製 直流バイアス試験セットがない状況では、直流と交流が出力できる電源を用いて、PW6001 で直流電流バイアス試験を行います。今回はKIKUSUI 製 バイポーラ電源 PBZ20-20 より1A から20A までのDC 電流と、測定用信号として0.2A, 1kHzのAC 電流を重畳させて、同じようにパワーアナライザー PW6001 の演算機能でインダクタンス値を計算させました。(図7)(図8)

3260B の測定条件はCV 1V , f=1kHz に設定したので計算上は0.04A の測定電流です。この微小な交流電流をカレントプローブとPW6001 の組み合わせで高確度に測定できた結果、3260B とPW6001 のインダクタンス値が一致していることが証明できました。

※ 本アプリケーションに関する質問やテスト依頼は 計測ラボ(Metrology Lab by Hioki)にご連絡ください

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