アプリケーション・用途

リチウムイオン電池の絶縁抵抗検査

安全性の検査である絶縁抵抗検査は、一般的に電解液注液前のバッテリーの電極間の絶縁抵抗を測定します。注液後のモジュールまたパック工程の安全性検査でも実施されることがあります。

LiB 生産ラインの工程イメージ

課題

リチウムイオン電池の絶縁すべき部分が十分に絶縁されていない場合、電池寿命の低下や発火事故を起こすおそれがあります。絶縁抵抗が低くなる要因は、製造工程での金属異物の混入や、セパレータの破れなどが考えられます。絶縁抵抗検査で微小な電圧 / 電流の変化をとらえ、不良品を検出する必要があります。

■ 今までの絶縁抵抗試験や耐電圧試験では検出できなかった電池の内部不良も検出できる検査をしたい
■ 従来のオシロスコープや記録形などによる検査での、サンプリングや分解能による取りこぼしの問題を解決したい

解決策:BDD検出機能

BT5525 の BDD(Break Down Detect)機能を使った絶縁抵抗検査をご紹介します。 
BDD 機能では、アナログ回路(ピークホールド)とデジタルサンプリング(5MS/s)を融合し、微小な電圧と電流の変動を監視します。充電期間中の電圧変化量、充電後の定常状態の電圧と電流の変化量をそれぞれ監視し、微小な変化を検出します。従来のオシロスコープや記録計による波形計測で発生していた、サンプリングのタイミングや分解能によるとりこぼしの課題を解決します。
設定したしきい値を超える変化があった回数をカウントします。検出した結果は内部メモリに記録され(最大 99 個)、コマンドで取得できます。さらにBDD STOP機能を使うと、BDDを検出したらすぐに測定を停止することができます。測定物へのダメージを軽減し、生産工程の歩留まりの低下を防止します。

BDD検出イメージ

■ CC V
充電期間中の電圧値(V)で絶縁不良を検出します。変化する直前の電圧値に対して判定します。
設定可能範囲 : 0.1 V ~ 500.0 V

■ CV V
充電後の定常状態の電圧値(V)で絶縁不良を検出します。定常時の電圧(安定したところの電圧)に対して判定します。設定可能範囲 : 0.1 V ~ 500.0 V

■ CV  I
充電後の定常状態の電流の変化量(%)で絶縁不良を検出します。変化する直前の電流値に対して判定します。
設定可能範囲 : 0.1% ~ 999.9%

推奨設定
CC V/CV V:1 V, CV I:1%(ノイズによる誤検出を防ぐため)

実測:BT5525(BDD機能)

あらかじめ異物を混入し絶縁不良状態にしたリチウムイオン電池を用意しました。注液前の電池の正極 - 負極間で、BDD 機能を使って絶縁抵抗検査をしました。

【BDD 機能の設定】
CC V(充電期間中の電圧変化):5 V 
CV V(常時期間中の電圧変化):5 V 
CV I(常時期間中の電流変化):5% 

【結果】
BDD を 3 回検出しました

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