アプリケーション・用途

耐圧計とオシロスコープを使った モーター・ステーターの部分放電試験

課題

耐電圧試験は絶縁部にAC 高電圧を印加し、絶縁耐力を確認する試験です。合否の判定は電流実効値によって行われます。最近、この耐電圧試験(絶縁耐力試験)の波形をモニタしたいというニーズが高まっています。

耐電圧試験中に放電する「かすかな音」を聞いたことがありますか。音の正体は火花をともなわない放電です。この放電現象は電流値に現れないため、耐電圧試験は合格してしまいます。しかし、この放電は市場で絶縁破壊を起こす可能性があります。

本アプリケーションでは、耐電圧試験における電流波形観測から部分放電の検出を試みました。

解決策

中性点接続状態のステーターのコイルと接地間に耐電圧計を接続します(Fig.3, Fig4)。接地側には2 種類のCT を取り付けます。CT1 はDC から120 MHz、CT2 は4.8 kHz から400 MHz の特性があります。この2つのCT の電流波形をMR6000 で観測します。


実測データ1

• 試験電圧 AC1000 V ではCT1(水色)、CT2(白)ともに変化はありませんでした。
• 試験電圧 AC1400 V ではCT1、CT2 ともに部分放電波形を観測しました。
• 試験電圧 AC1400 V の部分放電波形の拡大観測も行いました。

実測データ2

• コアにコイルを接触させ、試験電圧 AC1000 V で電流波形を観測しました。
• 接触がないときは変化がありませんでしたが、接触させた場合、部分放電の波形を観測しました。

まとめ

• 耐電圧試験において電流波形を観測することで、耐電圧試験だけでは分からない部分放電の検出が可能です。
• 絶縁不良があると放電開始電圧が下がります。
• 中性点接続前であれば、コイル – コイル間(Fig.7)の部分放電の確認が行えます。
• オシロスコープのトリガ機能を用いれば自動試験ができる可能性があります。
• ただし接地やノイズ環境に注意が必要です。

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