アプリケーション・用途

電気自動車に欠かせない絶縁材料の絶縁性能検査

地球環境問題を背景とした脱化石燃料化に向け、ヨーロッパや中国を中心に、内燃機構車(Internal Combustion Engine, 以下 ICE)から電動化車両へのシフトが加速しています。世界的にバッテリーを搭載した電気自動車(Battery Electric Vehicle, 以下 BEV)の開発が進んでいます。ICEは化石燃料を燃やすことでエンジンを動かし走行します。BEVはバッテリーに蓄えられた電気エネルギーでモーターを回し走行します。

BEVが安全に使われるためには電気を通さない絶縁材料が欠かせず、その絶縁性能が重要です。エネルギー効率の改善や充電時間の短縮を実現するためにBEVの高電圧化が進んでおり、より高い電圧に対する絶縁性能がもとめられます。

BEVには大容量バッテリーやモーターに加えて、バッテリーを充電するための充電ガン、駆動用モーター出力を調整するためのパワーコントロールユニット(PCU)が必要です。これらの部品は、従来の自動車部品よりもはるかに高い電圧と大電流で動作します。例えば、広く知られている充電規格のCHAdeMO(チャデモ)では500 Vの高電圧で充電します。充電する人は充電ガンを手で持ちBEVの充電口へ差し込みます。高電圧が人間に伝わると危険なため、充電ガンは絶縁性能(電気を通さない性能)に優れた樹脂で作られています。BEVの内部でも、バッテリー周辺やPCU周辺は絶縁材料で覆い安全を担保しています。また、モーターは電気が流れる線を巻いて作りますが、線はワニスと呼ばれる絶縁材料で覆われ、巻線間の絶縁を担保しています。
このように、電気自動車には多くの絶縁材料が使われており、絶縁材料の絶縁性能評価の重要性が高まっています。


課題:微小電流を高精度に測定する必要がある

BEVの安全性を確認するために、絶縁材料の絶縁性能を検査します。検査方法はいくつかありますが、一般に広く採用されているのは高電圧をかけたときに流れる電流を測定し、抵抗を算出する方法です。BEV内部の電圧は高電圧化が進んでいるため、より高い電圧に対する絶縁性能がもとめられます。絶縁とは、電気がほとんど流れないということですが、絶縁材料へ電圧をかけるとごくわずかな電流が流れます。絶縁材料の絶縁性能を確認するためには、そのごくわずかに流れる微小電流を正確に測定する必要があります。 
抵抗とは、電気の流れやすさを示す物理量で「Ω(オーム)」で表すことができます。オームの法則という、電圧・電流・抵抗の関係を表した公式があります。絶縁抵抗とは、絶縁材料の抵抗のことです。つまり、絶縁材料がどのくらい絶縁されているのかを示す物理量です。

解決策:絶縁材料の絶縁性能検査に最適な超絶縁計 SM7110, SM7120

SM7110, SM7120は微小電流を高精度に測定できる超絶縁計です。BEV内部の電圧は高電圧化が進んでいるため、より高い電圧に対する絶縁性能がもとめられます。SM7110は最大1000 V、SM7120は最大2000 Vの電圧を出力できます。 
HIOKIでは、試料の素材や用途に合わせた測定用電極も豊富に取り揃えております。

関連規格:JIS C2139-3, JIS K6911, ASTM D257, IEC62631-3, IEC6009


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